ボクがバンコク不動産投資に失敗した理由 その2:そもそも、だな。

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振り返ってみると、今回の投資における最大の失敗は、そもそものロケーション選定にある。この選定ミスがおよそ敗因の半分以上を占めると言っても過言ではない。

注記:以下の文中で特定の団体・企業名に言及していますが、内容はあくまで私個人の見解・感想に基づく私的なものであり、当該の団体・企業を中傷する意図は全く有しておりません。

アタシが購入した物件の所在地は、バンコク郊外にあるBTSベーリン駅の近く。物件購入を決めた2013年から先立つこと2年、2011年8月にBTSスクムウィット線がオンヌット駅から延伸し、ベーリンは新たな終着駅として注目を集めていた。

そもそもこの物件に興味をもったきっかけは、「バンコク大家」が主催するセミナーだった。当該セミナーの構成は、前半で「大家」からバンコクの概要、特にベーリン駅周辺のサムットプラカーン県の紹介をし、後半でOrigin Propertyというデベロッパーが同エリアに建設中の物件を紹介するという内容だった。

ベーリン駅周辺に関し、Originの触れ込みは以下の様な内容だった。

  1. 高い成長が望めるエリア、住居の需要も高い
  2. AECの戦略的地域に位置する:製造業、バンコク、スワンナプーム空港の結節点
  3. 広大な重要経済地域であり質の高い職がある
  4. CBD(スクムウィット、サトーン、ラーマ3世通り、ラーマ4世通り)に繋がる主要道路に囲まれている
  5. 生活の用を足す施設(セントラルデパート、IKEA、メガ・バンナー、良質なレストラン、エンターテイメント)の中心に位置する

確かに、ベーリン以南にはトヨタや日産を始めとする工場地帯があるし、スワンナプーム空港もベーリン駅から30km未満の距離にある。また、BTSはバンコクの主要道路であるスクムウィット通りの上を走る高架鉄道なので、スクムウィット通りに出ればCBDにも行ける。ベーリン~サトーン間は17km強の距離だ。またセミナーで見せられた地図を見る限り、商業施設も利用しやすい距離にあると思えた。この辺りの情報だけ捉まえると悪くは無さそうに思える。

実際、当時のアタシが物件購入に至った理由もこの辺りにある。空港やCBDが近ければビジネス上の利便性は高い。また商業施設が近いので、生活にも困らないであろうという想定である。

しかし一度行けば分かった事だが、当時のベーリン周辺は本当に何も無い土地だった(今もって何も無い所だが)。イメージ的には、郊外の片田舎に新駅ができただけの土地である。以下は物件完成後、ベーリン駅のホームから撮影した写真だが、「何も無さ」がある程度は伝わるのではなかろうか。

大局的に考えれば、ベーリン駅周辺は低中所得のローカルズが居住する地域で、欧米人エクスパットや日本人駐在員が好んで住むような場所ではない。また、ベーリンを含むサムットプラカーン県南部は農業地帯ばかりで俄に経済発展が望めるエリアでもない。新駅ができた当時は若干メディアにも取り上げられたものの、そもそも何も無い土地だから敢えて居住する価値がない。ここ数年で新たにできたのは、投機目当てで雨後の筍のように建ったコンドミニアムだけである(下掲は2017年5月にベーリン駅ホームより撮影した写真)。

土地だけは豊富にあるのでコンドミニアムは建てるが、他の商業施設等はまったくと言っていいほど発達しない。コンドミニアムの供給は増えるが居住需要が増えない。居住する人間が居たとしてもローカルズばかりで、大した家賃も取れない。こんな場所の物件価値が上がるはずもない。デベの耳障りの言いセールストークに乗せられて思惑で決定をするという、そもそもの場所選びが根本的に間違っているとしか言いようが無い。こういうのをカモと言うのである。

エリア選定に関しては我ながら面白いエピソードがある。今回売却した物件を購入する以前の2012年10月、アタシは視察目的でバンコクに渡航している。当然、タイの不動産事情を知るためである。当時泊まったホテルはBTSトンローにほど近い場所にあった。トンロー駅付近は店舗やレストランが非常に豊富で、日本語で書かれた看板も多く、日本人にとっても住みやすそうな場所だという感想をもった。滞在時のアタシには「結構いいところだなー、でも物件価格が高そうだなー」くらいの浮ついた考えしか無く、ホテルの女の子に「バンコクで住みやすい場所って何処だい?」などと明後日な質問をしていたのを覚えている。

他でもない、トンローこそ投資を真剣に考えるべきエリアの一つだったのだ。詳しくは別途述べようと思うが、上述のCBD~トンロー辺りまでのエリアは既にオフィスや商業施設などが高度に発展している一方、建設用地が僅少であるゆえに土地価格が継続的に上昇傾向にある。投資に値するのはこのエリアだったのだ。

トンローの街並みを肌で感じる一方、判断を決めた場所であるベーリン付近には全く足を踏み入れなかった。ここでのミステイクは土地勘の無さだろう。トンローとはどんな街か?ベーリンとは?それぞれバンコク内でどのような位置づけになるのか?大局的なエリアの区別ができていない。それならせめて投資をする場所に足を運ぶべきだが、それもしていない。何の事はない、「現地現物」ができていないのだ。不動産は株式やFXとは違って実体のあるモノである。それを直に見ないという点でこの投資は大半負けていたのだ。投資としては最悪のイモ筋である。

 

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