タイは熱帯モンスーン気候帯に属し、一年を通して気温が高い。年間の平均気温は29°にのぼる。また雨季は降水量が多く、毎日夕方になるとスコールと呼ばれる土砂降りが続き、場所によっては道路が冠水する。当然、不動産の立地を考える上でもこの過酷な気候を考慮にいれなければならない。アタシが購入した物件の立地は降雨の影響という面でも最悪だった。
バンコクの土地は多くが平坦な形状をしており、なおかつ日本のような排水機構が整備されていない。それゆえ、少しでも大雨になると街の至る所が冠水のようして川のような状態になる。今回売却した物件が位置するBTSベーリン駅付近は特に冠水被害が大きい。
以下の写真は当該物件への入り口となる小路(Soi Bearing1)の写真である。2016年9月の雨季、時間を変えて同じ場所を撮影したのだが、最早道の体をなしていない。排水溝が整備されていない道にスコールで一気に雨が溜まりこみ、まだ水が引かない内に次のスコールに見舞われるという悪循環が続いていた。
また、以下は上記ソイの出口からBTSベーリン駅に向かう通り(Soi Sukhumvit107)を同じ滞在時期に撮影した動画だ。ここもまた小川のような状態になっていた。最後に掲載したのはベーリン駅の真下を撮影した動画で、誰もが立ち往生して駅のホームや階段にへたり込む姿が多く見られた。
バンコクのソイは往々にして袋小路状態になっていて、他のソイに通じていない場合が多い。今回の物件のように単一のソイにしか面していない場所では、冠水すると大通りに出るのも一苦労という羽目になる。当該の場所はタクシーすら入るのを嫌がるというという話を後になって聞いたので、ローカルズすら嫌う土地だったのだ。こんな立地の物件は決して買ってはいけない。
バンコクの物件を下見する際は、くれぐれも下見は十分にした方がいい。アタシのように立地の視察を行わないのは論外として、視察を行うにしても最悪の時期に訪問するのが良い。雨季の一番雨の多い時期に訪問し、物件の立地や駅までの道がどのような状況になるかを実際に体験してみるのが身のためだろう。アタシ自身は2011年の洪水を踏まえてチャオプラヤー川周辺を避けるべきとは考えていたものの、個別の物件レベルで水害の有無を勘案することは怠った。バカな話だ。森を見て木を見ていない。
水害リスクはある程度まで投資家の自己責任だ。自分で現地の状況を確認しておかなかったから悪いのだ、とは言える。しかし、そもそも雨季になれば水が溜まりこんでローカルズさえ嫌がるような土地に物件を建てる事が果たして正規の商売として許されるのかという疑問は今だに消えない。エージェント側では既知の事柄であっても、投資家に全てを知らせる義務は無い。それを悪用すれば、そもそも劣悪な立地を安く仕入れ高値で売りつける事も可能だ。ましてや土地勘のない外国人なら絶好のカモになる。あくまで仮説に過ぎないが、海外不動産投資ではこの種のプリンシパル=エージェント問題に起因するリスクが遥かに大きくなることを、アタマに入れておいた方がいいだろう。
はじめまして。
私も同じ日本人のセミナーに参加し、このデベロッパーの物件を買ってしまいました。
管理人様のご経験されたこととほぼ同じような出来事がありました。
しかし、まだ所有しております。
もちろん最悪全損の覚悟で取り組んでおります。
自分を笑うしかありませんが、前に進めたらと思って取り組み続けてまいります。
情報ありがとうございました。
状況、お察しいたします。バンコクは場所の面でも価格の面でも二極化が進んでいて、間違った場所で買ってしまうと投げ売りするしかエグジット方法が無くなるようです。
新興デベだと、大手に対抗する意味合いで本来投資不適格な土地をあたかも適格地であるかに装って、外国人の情弱さにつけ込むようなセールス手法も辞さないのだと思います。
苦しい状況かとは思いますが、値段さえ下げれば現地の実儒層にはニーズがあるはずです。現地のエージェントにかけあって、傷が浅いうちに損切りされる事をお薦めします。