バンコクの主要市内鉄道・BTSグリーンライン(スクムウィット線)の延伸部が2017年には開通するとのこと。
Bangkok Mass Rapid Transit-Green Line Extension, Thailand
http://www.railway-technology.com/projects/bangkok-mass-rapid-transit-green-line-extension/
延伸自体は随分以前に決定していたが、工事が遅れ気味だったようで、一時は2020年頃までかかるのではないかと言われていた。遅れながらも開通に漕ぎ着けた感じ。
新駅ができるとなると、当然不動産デベロッパーも動き出すわけで、開設予定の駅周辺にはかなり多くのコンドミニアムが供給される模様。一般論としては周囲の開発も進むわけで、デベ・投資家・実需層いずれもが浮足立つ。
SkyCity by Origin Property
http://knightsbridge.origin.co.th/skycity/index.php
ただ、この種のプロジェクトに投資するのは多分に「先物買い」の要素がある。延伸部分というのは今まで開発の盛んでなかった、土地なので、少なくとも現況から投資価値を探るのは難しい。駅近というのは不動産の価値を考える上で大きな要素ではあるが、不動産=街の一部と考えるなら、駅への近接性のみならずあくまで物件が属する街全体の価値を推し量るべきだろう。
グリーンラインMo Chit以北の延伸部については足を踏み入れた事がないので土地勘が無い。ただ、ドンムアン空港から市内へ向かう道すがら、車窓から見える風景は何となく殺伐とした感じで、日本人目線では住みたいような土地ではないように記憶している。恐らくローカル色が強く、外国人エクスパット等はあまり住まない土地ではなかろうか。有り体に勘ぐりを語れば、低所得者の多い鄙びた郊外の土地、というイメージがある。
Bearing以南にしても同様で、雰囲気としては郊外の片田舎のような土地。バンコク南部の工場に通う現地労働者が多く、住居需要層の収入はお世辞にも多くは無さそう。Bearing自体、BTSの駅はあるものの、周辺には見るべき商業施設などもなく、供給過剰になったコンドミニアムが雨後の竹の子のように建った後という感じ。
(BTS Bearing駅周辺。2017年5月撮影)
加えて、現在のバンコク経済自体は不調で与信審査も通りにくくなっているというニュースも目にした。賃貸需要はあるかも知れないが、転売は難しいだろう。購入した物件を賃貸に出すとしても、需要層は上述のローカルズになるだろうから、望ましい利回りが得られるとも考えにくい。
総じて、グリーンライン延伸部に関しては投資妙味が無さそうな気がする。バンコク内でも不動産の二極化が進むなどと言われている状況、かつ経済の不調を勘案すると、より魅力的な街の物件を丹念に探した方が無難ではないかな。